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サロンホワイトニングの仕組み、「汚れを浮かせて落とす」が基本
では、サロンホワイトニングは、どのような仕組みで、歯を「本来の色」に戻しているのでしょうか。その効果の鍵を握るのが、使用される薬剤の主成分と、LEDライトの働きです。サロンホワイトニングで主に使用される薬剤は、歯科医院で用いられる過酸化水素や過酸化尿素といった医薬品ではなく、「ポリリン酸ナトリウム」や「炭酸水素ナトリウム(重曹)」、「酸化チタン」といった、食品や化粧品にも使われる、安全性の高い成分です。これらの成分は、歯の内部の色素を分解する「漂白作用」は持っていません。その主な働きは、歯の表面のエナメル質に付着した、コーヒー、紅茶、赤ワイン、タバコのヤニといった、頑固な「着色汚れ(ステイン)」に、化学的にアプローチすることです。例えば、ポリリン酸ナトリウムは、歯の表面とステインの間に入り込み、ステインを歯から「浮かび上がらせる」効果があります。また、歯の表面をコーティングし、新たな汚れが付着するのを防ぐ効果も期待されます。そして、利用者が、自分で歯にジェルを塗布した後、多くの場合、青色の「LEDライト」を、数分から十数分間、照射します。このLEDライトの役割についても、正しい理解が必要です。歯科医院のオフィスホワイトニングで使われる特殊な光は、高濃度の過酸化水素を活性化させ、漂白効果を促進するための、強力なエネルギーを持っています。しかし、サロンのLEDライトには、そのような薬剤を活性化させるほどの、強力なパワーはありません。その主な役割は、ジェルに含まれる「酸化チタン」などの成分と化学反応を起こす「光触媒」という作用を利用することです。酸化チタンに光が当たると、その表面で活性酸素が発生し、歯の表面に付着した、汚れや細菌を、分解するのを助ける、と言われています。つまり、サロンホワイトニングのプロセス全体は、「薬剤で汚れを浮かせ、光の力でその汚れの分解を助け、最後の歯磨きで、物理的に洗い流す」という、非常に高度な「歯のクリーニング」なのです。歯そのものの色を、内側から白くする「漂白」とは、そのメカニズムが、根本的に異なるのです。
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ホームホワイトニングの効果とは?「自然な白さ」と「持続性」
ホームホワイトニングは、歯科医師の指導のもと、主に自宅で、自分専用のマウスピース(マウストレー)を使って歯を白くしていく、専門的な歯科治療の一種です。この治療法に期待される「効果」は、単に歯を白くするということだけではありません。その最大の魅力は、歯科医院で行うオフィスホワイトニングとは異なる、二つの際立った特徴、「白さの質」と「効果の持続性」にあります。まず、「白さの質」についてです。ホームホワイトニングは、比較的低濃度の薬剤を、毎日、数時間という長い時間をかけて、歯の内部にじっくりと浸透させていきます。この穏やかなプロセスにより、歯の表面だけでなく、その奥にある象牙質の色素まで、ゆっくりと、しかし確実に分解・漂白していきます。その結果、急激な変化で得られる、のっぺりとした人工的な白さではなく、まるで元から歯が白かったかのような、内側から輝くような「透明感」のある、非常に自然な仕上がりになるのが、大きな特徴です。次に、「効果の持続性」です。じっくりと時間をかけて歯の内部構造から色を変化させていくため、その効果がより安定して定着しやすく、色の後戻りが非常に少ない(緩やかである)ことが、最大のメリットと言えるでしょう。オフィスホワイトニングが、イベント直前の「即効性」を求める治療であるとすれば、ホームホワイトニングは、長期的な視点で、美しく、健康的な白い歯を「育てていく」治療なのです。この、仕上がりの自然さと、効果の持続性こそが、多くの人々を魅了する、ホームホワイトニングの真の効果と言えます。
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ホワイトニングの効果を最大限に引き出すための事前準備
ホワイトニングの効果を、最大限に引き出し、色ムラのない、美しい仕上がりを実現するためには、施術前の「事前準備」が、極めて重要になります。歯科医院では、ホワイトニングを行う前に、必ず、いくつかの、重要なステップを踏みます。まず、全ての基本となるのが、歯科医師による「口腔内の診査・診断」です。ホワイトニングは、誰でも、無条件に受けられるわけでは、ありません。もし、未処置の「虫歯」があったり、歯に「ひび割れ(クラック)」があったり、あるいは、「重度の知覚過敏」があったりする場合、そこに、高濃度のホワイトニング剤が、浸透すると、歯の神経に、激しい、耐え難い痛みを、引き起こす危険性があります。また、「重度の歯周病」で、歯茎に、強い炎症があったり、歯の根元が、露出していたりする場合も、薬剤の刺激で、症状を悪化させる可能性があります。そのため、歯科医師は、まず、あなたの口腔内が、ホワイトニングを行っても、安全な状態であるかを、隅々まで、チェックし、もし、問題が見つかった場合は、ホワイトニングの前に、これらの治療を、優先することを、提案します。次に、重要なのが、歯の表面の「クリーニング」です。私たちの歯の表面には、日々の食事によって、色の濃い「ステイン(着色汚れ)」や、ネバネバした細菌の膜である「バイオフィルム」、そして、硬く固まった「歯石」などが、付着しています。これらの汚れが、歯の表面を、まだらに覆っている状態で、ホワイトニングを行っても、薬剤が、歯に、均一に浸透せず、白くなる部分と、ならない部分ができてしまい、まだら模様のような、悲惨な「色ムラ」の原因となってしまいます。そのため、本格的なホワイトニングの前には、必ず、歯科衛生士による、専門的な「プロフェッショナル・クリーニング(PMTC)」で、これらの汚れを、徹底的に、除去する必要があります。この、丁寧な事前準備こそが、安全で、かつ、美しいホワイトニング効果を、得るための、欠かすことのできない、土台となるのです。